透明の羽を見た

中学生ぶりに腰まで長く伸ばした髪を切ったらぜんぶ終われると思ったんですけど、終われなかった、本当は終わらす気がなかったです。

 

みんなが恋とか愛とかって呼ぶそれはわたしにとって季節みたいなものです。始まったことにも気がつかずにいつのまにかやってきて、終わってから確かにそこにあったって知ります。絶対なのはいつかおわるってことだけです。だからもういつ終われるかわからないし、もしかしたら今日でいきなり終わりかもしれないし、そう思ったらどうしてもどうしても残したいと思ったので書いてます。

 

気味のわるいわたしの気分悪い物語だけど、ぜんぶ嘘だから許してほしい。書き始めに悩んでなにも進まないのです。

 

浮気した人目線の歌はいつだって恋人に向けて歌われます。「こんな僕を叱って」「後悔してる」とかってあれはわたしには全然よくわかんなくて。だからもしかしたら浮気じゃないのかもなんて思ってます。なんて嘘で、悪いことしてるのに反省できない最低な人間なだけです分かってます。

 

ありきたりだけどこの世界に自分とこの人だけになればいいのにとか。この人と2人でならこの先の人生少しは期待できるかもとか。本気で思いました。それでも頭のおかしいわたしは相変わらず死にたくなる夜ばっかりで、そんな気持ちすっかり忘れました。忘れてから思い返すと、ぜんぶ勘違いだったなあなんて思います。誰か1人を愛し続けるなんて才能がわたしにはありません。

好きな食べ物はいくら好きでも、それだけを食べて生きてくなんてできなくて、わたしにとって好きな人もそんな感じです。

 

別に嫌いになったわけじゃない。またしばらくしたら元に戻るから、一旦立ち止まってみたい。少しだけ、地図にない道を行ってみたい。

 

最初からまともな恋愛するつもりなんてなかったから、だから気楽で簡単に好きになれたと思います。

でもほんとは抱えてる暗くて深い気持ちとか、夜道に猫を見かけると追いかけちゃうところとか、自分と同じところを見つけてたまらなく嬉しかったです。

 

君はそんな人じゃないってじゅうぶん分かってたけど、夜の散歩だけじゃもう会ってもらえないかもって思って、自分から誘いました。

そんなの君にとってはどうでもいいと思うけど、そんなことするタイプじゃないのに、いつもしてるみたいに振る舞いました。少しぎこちない君に安心して、慣れたように振る舞う自分に嫌気が差した。だけどただの寄り道なんだから、素敵な思い出にしたってしょうもないって思います。

 

ホテルを出ていつもの帰り道を2人で歩いて、小学校の脇のコンクリートにまだ真っ白なセミを見つけて2人でしゃがんだ。さっきまでが夢だったんじゃないかって思うくらい綺麗な透明の羽でした。もしまたいつか真っ白なセミを見る機会があったらその時は真っ先に君を思い出すと思います。でもそんな機会もうないだろうな。

 

こんなはずじゃなかったんだけど、そんなもんなんです。ありきたりなひと夏の恋、恋っていうか勘違い。いつか読み返して、バカだったなって笑います。

 

孤独が似てたから、近づいちゃったんだと思います。いつか君のその孤独がなくなるといいなって思います。

 

 

よくわからなくなっちゃった。