金木犀って言いたくて書いた文章です

薄い雲の向こうで丸い月がぼんやり浮いてて、涼しくて、あ、あとうまく伝わるかわかんないけど、夜の空に浮かぶどんよりした白とグレーの間みたいな色のあの雲の方が好きだなあわたしは。

 

9月も終わって通り過ぎてって、たぶんわたしのとこは各駅停車しか停まらない場所なんだと思う。なのに各駅停車の列車はもうしばらく来てないよって、隣に座る知らないおじいちゃんがこっちも見ないでぼそっと教えてくれるみたいな。通り過ぎてく急行電車を何本も何本も見つめてるみたいな。そんな感じの毎日です。

 

あとそっちは金木犀の匂いなんてしますか?わたしのところはしませんよ。そっちとかこっちとか、そんな距離じゃないけどさ。ねえまた歩いてこっちまで会いに来てよ。来ないか。こんなに寒かったらもう秋っていうより、冬だし。飽きっていうより、もう終わりだし。なんて言いながら金木犀の歌聞いて今日も東横線乗ってましたカッコ悪いよね笑えるよね笑ってね。

 

言いたいこととか特になくて、伝えたいことなんかもなくて、ただ繋がってたいってこれありきたりな恋愛ソングの歌詞みたいな。あ、こうやってすぐ何かに喩えたがる、物知りなフリして誰かをバカにしたがる自分の癖は大嫌いです。ほんとはいつだっていつまでだって自分のことが1番嫌いです。

 

夏が終わったらこの恋も終わりにできるなんて映画と歌詞のなかだけです。たった数日過ぎただけで月が変わって、たった何度か気温が下がっただけで夏が終わって、そんなんで恋がひとつ終わるわけないじゃんね。そんなんで終われるしょうもない恋、うーんでもしょうもないのはしょうもないけど、しょうもない恋でも恋は恋です。

 

お酒を飲んで「会いたい」なんて言うのは簡単だけど、会ってくれなくても良いからまだそこにいてほしいよ。いなくならないでほしいよ。わたしのこと嫌いでいいから、うざいと思ってくれてもいいから、目も見てくれなくていいから、あともう少しだけわたしのこと忘れないでいてほしいよ。なんて、お酒飲んでも言えないな。酔いも覚めるよそんな台詞は。

 

 

なんだか毎日寒いし苦手なお酒毎日飲んで朝は眠いし最悪です。今すごく優しい男の子に焼肉に誘われて、たぶん今度告白されるよ。でもわたしまだ君のことこんなに好きだよ。もう冬になっちゃうよ。ねえもう一回こっち来てよ。ほんとはちゃんと好きなんだよ。君のことだけ、誰でもいいわけないじゃんか。嘘じゃないよ全部全部。