木が光ってた話

渋谷でお酒を飲んだ帰りの電車で「今から会おうよ、待ってるから」なんてメッセージ 今となっては笑っちゃうくらい、幻みたいな話なんだけど 確かにあの夜君からそう言われて あの日も行ったいつもの公園。 今日帰り道に通ったら、端にある大きな木に白いイルミネーションが点いてたの ねえあれ君も見たのかな 立ち止まって写真撮ろうかと思ったけど 仕事帰りの君に見られたら、って思ってやめといた。別にもう会いたいわけでは無くってね 昨日違う人に抱きしめられた時 必死で君の腕とか背中を思い出してみたんだけど 全部嘘だったみたいに思い出せなくて。っていうか君について 思い出せるのはそういうのじゃなくて 中学生みたいに笑うとことか、あくびしながら伸びをする後ろ姿とか、太った野良猫撫でるその優しい手とか。君もわたしのことひとつくらい 覚えてくれてたらいいな。ねえあの公園の木光ってるの、綺麗だからさ 君も見てるといいな。