公開日は誕生日

もしも人生が1つの映画だったとして この映画の原作の中にもともとあったはずの役が1つ無くなった

原作ではすごく重要な役だったはずなのに いつのまにか映画には登場しなくなってた

でもきっとその映画はすごく出来が良くて 熱狂的な原作ファンですら文句を言うのを忘れてしまうくらいに素敵な映画になる

だからいつの間にか消えてたその役に誰も気がつくことは無くてまるで全てが当たり前みたいに物語が流れてく

その映画は本当に評判が良くてあの子もあの子も「私もう3回観たの」なんて得意げに言う

土曜の昼間のテレビの中では監督と主役の女の子がインタビューを受けたりしちゃって 続編も撮るらしいよなんて噂が大学生の間で流れたりしちゃう

だから何の問題もなんだけどね

たくさんの登場人物の中でたった1人いなくなったって何も問題は無い

それでも私は原作を読んでたから

その本はもうずっと昔から何回も何回も読んでいつも大切に本棚の奥のほうにしまってたから

お気に入りのブックカバーをかぶせてお気に入りのしおりを挟んでずっとずっと大切に

そんな大好きな本の大好きな物語の中のお気に入りの君がいなくなった

 

 

君の言う「俺ら」って言葉が大好きだった

まるで2人は1セットだと言われたみたいで心地よかった 同じ本の中に居るんだと思えた

 

だけど私の物語の中からは居なくなって 君はたぶん新しい物語の中に今ごろ居るんだろうな

新しい物語の中ではきっと私とは違う女の子が主役でその物語もきっとすごくすごく面白くて その物語には君は絶対絶対欠かせない 大切な役をもらえるんだろうな 映画化されてもエンドロールで君と誰かの幸せそうな生活が流れて 君の名前が2番目に流れて 舞台挨拶なんかで忙しくなるよ 

 

わけがわからないでしょ こんな話は